まず最初に理解していただきたいのは、**車検証に記載されている「所有者」**は、その車の法的な持ち主を指すということです。
この所有者の許可がない限り、その車を業者や友人に売却することはできません。
例えば、「車はあなたが使っていいけど、ローンが払い終わるまでは所有権はお金を貸した会社にありますよ」という状況です。
したがって、車検証上の所有者が別の名義である車を買取や下取に出す場合は、必ず所有権解除の手続きを行う必要があります。
所有権解除の方法は、各信販会社、販売会社によって異なります。

- 車検証と完済証明書(残債照会の結果)を準備する。
- 車検証上の所有者(信販会社やディーラー)に連絡する。
- 所有権解除手続きの詳細を確認する。
- 車両情報やお客様情報を提供する。
- 必要書類を教えてもらい、準備する。
- 必要書類を郵送する。
- 所有権解除書類が送られてくる。
一番手っ取り早い方法は、所有権元のウェブサイトで確認すると全て明記されています。
例えば、所有者が『福岡トヨタ』の場合は検索窓に『福岡トヨタ 所有権解除』といれ検索します。
所有権解除 | 福岡トヨタ自動車株式会社 (fukuoka-toyota.jp)
それぞれのサイトに明記されている必要書類を揃え、送付することで所有権解除に必要な書類一式が所有権元より返送されます。
以下に一般的な所有権解除の方法を記します。
所有権が信販会社やディーラーの名義になる理由
まず、なぜこのような車検証(所有者が販売店または信販会社)が存在するのかを説明します。
最も一般的な理由は、お客様がその車をローンで購入している場合です。
このような場合、その車を担保に、信販会社(例:オリコ、ジャックス)やディーラー系の金融機関(例:トヨタファイナンス、日産フィナンシャル)からお金を借りて車を購入しています。
ローンが完済されるまで、車を売却して現金化することができないように、「所有権留保」という形で信販会社やディーラーが法的な所有者となっているのです。
これは、車をローンで購入し、その後すぐに売却されることを防ぐための措置です。
家を担保にして銀行からお金を借りることと同じ仕組みです。
所有権留保された車を買取・下取する方法
では、このような所有権留保された車を買取や下取する際の流れを説明します。
まず、お客様にローンの状況を確認する必要があります。
- ローンが完済している場合
- ローンがまだ残っている場合
1. ローンが完済している場合
お客様に以下の書類をご用意いただきます:
- 完済が確認できる書類(残債照会による確認)
- 所有権解除のための委任状(所定の書式)
- 印鑑証明書原本(所有者によっては免許証のコピーで代用できるケースもあり)
- 実印(免許証で代用できる場合は認印で可、シャチハタ不可)
- 車検証の写し
また、婚姻による姓の変更や住所変更があった場合は、戸籍の附票や住民票などの公的書類で証明する必要があります。
2. ローンが残っている場合
お客様に準備していただく書類は1の場合と同じです。
加えて、残っているローンの額(残債金)を確認し、次の手順に進みます。
残債がいくら残っているか確認する場合も、各残債もとに確認を入れる必要があります。
こちらも、『トヨタファイナンス 残債紹介』などと検索すると出てきます。
- 査定額が残債金を上回る場合
例:残債金50万円、査定額60万円
- 査定額から残債分を差し引いた50万円を信販会社に振り込み、ローンを完済します。
- 査定額が残債金を下回る場合
例:残債金50万円、査定額40万円
- 差額の10万円をお客様から回収し、その合計額50万円を信販会社に振り込んで完済します。
所有権解除の手続きの流れ
ステップ 1:残債の有無確認 & 書類回収
- お客様に残債の有無を確認
- 残債がない場合: 完済証明書を回収
- 残債がある場合: 残債照会依頼書を回収
残債紹介依頼書は、各信販会社、販売店によって異なります。
書類回収 (1 または 2 のどちらか)
完済証明書がある場合
- 所有権解除の委任状(実印)
- 印鑑証明(発行から2か月以内)
- 車検証コピー
*住所・氏名が車検証と印鑑証明と異なる場合、つながりが確認できる書類が必要です。
(住民票・戸籍の附票等)
完済証明書が無い場合
- 残債照会依頼書
- 免許証コピー
- 所有権解除の委任状(実印)
- 印鑑証明(発行から2か月以内)
- 車検証コピー
*住所・氏名が車検証と印鑑証明と異なる場合、つながりが確認できる書類が必要です。
(住民票・戸籍の附票等)
お金を借りた会社名をお客様に確認 (例: 所有者が「〇〇トヨタ」でも貸付会社は「トヨタファイナンス」など)
ステップ 2:残債照会 (完済証明書がない場合)
- 必要書類
- 残債照会依頼書
- 免許証コピー
- 残債照会方法
- オンライン or FAX (残債先によって異なる)
- 例: トヨタファイナンス、オリコ、プレミアファイナンス
- 残債がある場合の対応
- 残債一括清算日を確認 (必要に応じてバディに確認)
- 残債額が査定額を超える場合、差額をお客様に伝え、入金を依頼
ステップ 3:残債一括処理
条件:
- 残債証明書を持っている
- 車が入庫処理されている
- 所有権解除に必要な書類が完備している
- 不足額をお客様から回収
条件が整ったら: 残債一括処理を実施
ステップ 4:所有権解除手続き
- 残債先に入金が完了したことを確認
- 所有権解除の依頼
- 所有者に記載された会社に所有権解除の依頼
- 方法: オンライン or 郵送 (会社によって異なる)
- 普通車の場合
- 「県外用」で所有権解除を依頼 (詳細はバディに確認)
- 郵送の場合
- レターパックを使用し、追跡番号を控える
ステップ 5:所有権解除書類の確認
- 書類が郵送されたら、車両情報を確認
- 車台番号などに誤りがないか要チェック
以上の手順を適切に進めることで、所有権が解除され、車を買取や下取に出すことが可能となります。
所有権解除が完了しない限り買取車両の代金をお客様にお振込みすることはできません。
また、昨今の新車販売の風潮では、1年未満の売却が不可能な場合もあります。
所有権解除の書類と車両はワンセットである旨を商談時にきちんと説明する必要がありますので注意しましょう。